2025.11.30
リスキリングの核心は“ハート”にある ──広島で見えたチームマネジメントの再学習
本日11月30日で、NOKIOOの第15期事業年度が終了します。
昨日まで広島に出張し、今期最後の仕事を納めてきました。
今回の広島出張は、今年の8月から実施していた広島県と地域企業経営者との越境学習の最終回と、広島叡啓大学PWSさんとの取り組み「出張金ガレ in 広島」のための訪問でした。
PWS:プロジェクトワークスペース

広島県庁と取り組んだ経営者勉強会の最終回Day3の最後のチェックアウト(皆さんの気づき・所感の共有)で、
「今まで課題に目を向ける事ばかりで、私も会社の従業員も答えを持っていないことに対して創造的な思考を引き出すっていう発想は、考えてもいなかった。『問い』というスキルを学び、新しい気づきと持ち帰りになった」
というお話をいただく経営者もいらっしゃり、取り組んできたことが少しでも参加経営者に残っていただいたようでほっとしています。
そもそも今回の取り組みの大きなテーマは、広島県人的資本経営促進課が推し進める「リスキリング」でした。リスキリングと先ほど取り上げた「問い」、NOKIOOの取り組む越境学習、地域学習コミュニティづくり、そしてNOKIOOの全員マネジメントがどう関係してくるのか、今回のブログではそのあたりを書いていきたいと思います。
広島県庁とのつながりは、ちょうど一年前に実施したこちらのウェビナーイベントがきっかけでした。
広島の代表企業といえば「マツダ!」ですね。このイベントには広島県内の企業からたくさんの参加があり、その中に広島県庁の人的資本経営促進課の参加者を見つけたのがきっかけです。こんな名前の部局が行政の部署名についているなんて、なんて先進的なんだと思い、早速広島への出張訪問時にお邪魔させてもらいました。
そこで僕たちが浜松を中心に取り組んでいる越境学習の取り組みや、地域ブランディングの「浜越(ハマエツ)」をご紹介。地域に学びのカルチャーをつくっていくことで、地域企業を巻き込み、新たな気づきや学びの開拓を進めていることをご紹介しました。
その際には一旦、お互いの情報交換でありましたが、今春に再びご接点がありそこから今回の取り組みに発展をしていきました。
広島県はリスキリングをどのように捉えているかというと、リスキリング促進のためにはハード・ソフト・ハートの3つの側面からの取り組みが必要だと説明しています。

この中でいうと、ハートの部分がまさにNOKIOOが浜松地域で取り組んでいること。そして、企業向けに提供するサービスでも文化醸成のための場づくりやラーニングコミュニティづくり支援をしていますので、その部分で取り組んできたことのノウハウ・ナレッジや、提供できるコンテンツ・場づくりで貢献ができるのではないかと思い、今年の広島県庁の取り組みの『成長志向の経営者同士で、組織の未来をつくる学びを~リスキリングの第一歩は共に学ぶことから~』をご一緒させていただくことになったのです。
今回、当社から提案させてもらった取り組みのコンセプトは、リスキリングの中でも「ハート=学びの文化」を動かすことを目的にしたものです。
広島県が掲げるハード・ソフト・ハートの3つの柱のうち、私たちが特に重視したのは、企業の中に対話が生まれ、助け合いが自然に起こり、良い問いが育っていく“文化の土壌” をつくる部分でした。
Day1〜3で扱ったヘルプシーキング、対話、問いのデザインは、スキルの習得だけでなく、経営者自身が “学び合う空気” を体験し、それを自社に持ち帰るためのプロセスとして設計しました。
リスキリングに向けたハード面の整備(制度づくり)と制度の運用だけでは、組織内で自律的に学びは継続していかないと考えています。フラットなカルチャーが生まれはじめ、問いが巡り、対話が深まったとき、初めてリスキリングは企業の中で自走しはじめると考えるからです。今回のプログラムは、その“循環の起点”をつくるための提案と実践でした。
先日の最終日には、私たちもあらためてここまでの全3回の取り組みを振り返り、意味づけをし、ご参加の皆様にも共有させていただきましたが、今回の取り組みを広島県様とのフロントで動かしてきた当社の古畑さんがまとめたスライドが、よいスライドでしたので、こちらで共有したいと思います。

リスキリングには、大きく2つの流れがあります。
ひとつは、事業を前に進めるための 業務スキルのリスキリング(ハードスキル)。
広島県でもITパスポートの取得支援など、事業推進に直結するスキル強化が行われています。
そしてもうひとつが、組織を“動く状態”にしていくための チームマネジメントスキルのリスキリング です。
広島県ではこれを「ハート(文化)のリスキリング」と表現していますが、私たちNOKIOOは、これを “チームの連携を生み、対話が深まり、良い問いが育つための行動スキルの再学習” と捉えています。
Day1〜3で扱ったヘルプシーキング/対話/問いのデザインは、まさにこの領域のスキルです。
そしてこの2つのリスキリングは別々ではなく、図にあるように循環しながら組織を前に進めていきます。
チームマネジメントスキルが育つ
→ 組織がアクティブに動き、学びの場が生きる
→ 事業スキルの習得が進む
→ 実践の成功が生まれる
→ さらにチーム文化が成熟する
こうした循環が回りはじめたとき、リスキリングは単なる施策ではなく、組織の営みそのものとして根づいていくのだと感じています。
そしてもう1枚。

このチームマネジメントスキルを磨き、リスキリングを進めて業務が変革していく方向を大きく方向づける「戦略・方針」が無いと、取り組んでいることが明後日の方向に向かってしまう。経営から経営戦略・事業戦略を示すこと。
現場単位のチームでいくと、全社の戦略を受けて、そのチームでの成果定義や成果要件を決め、チームメンバーと握ること。NOKIOOのプログラムでいくと「役割マネジメント」というプログラムがありますが、この取り組みができてくると、リスキリングが目的ではなく、企業経営の手段として納得感の強いものになっていくのだと思います。
今回の取り組みを通して、私たちも「リスキリング」の本質は何なのかを考えさせていただく機会になりました。機会をいただいた広島県と、ご参加いただいた経営者の皆様に感謝です!
***おまけ***
「最終回のDay3は11月28日。金曜日じゃん!金ガレ広島とかできそうじゃない?」と。Day1のために8月中旬に広島を訪れ、昼飯で広島焼きをほおばっている時に思いつきましたが、何とそれも実現ができました。

広島叡啓大学のPWS(プロジェクトワークスペース)とご一緒して。
PWSを切り盛りしている新家ちゃんが、何と昨年通った青山学院大学WSD(ワークショップデザインプログラム)で一緒だった仲間で、広島で越境の場づくりをしていきたいということでUターンしたよ、ということでしたので、それなら「金ガレ」やってみようよ、と。

広島に「ヒロエツ(広越)」のロゴをお渡しし、今年はこのロゴを冠した取り組みが、
・経営者コミュニティラーニング
・出張金ガレ in 広島
で実現できました。
また来年も広島での取り組みに何かしら関わっていければと思います。そして、ハマエツ・ヒロエツで地域を越境した学びの交流をしましょう。












