2026.04.05
リモート組織で、なぜ“感情”が伝わるのか
そういえば、半年ほど前に制作した動画がありました。
NOKIOOらしいカルチャーがよく表現された、とても良い内容だったのですが、このブログで共有できていなかったことを思い出し、少し遅れてではありますがご紹介したいと思います。
この動画をあらためて見返しながら、そして最近経験したことや、インプットしたこと、考えていることを重ね合わせながら、少し書き留めてみたいと思います。
NOKIOOでは、日常の業務を進めるうえでのコミュニケーションのほとんどがリモート環境で行われています。日報や社内チャット、スレッドといった非同期のテキストコミュニケーション、オンラインミーティングという同期コミュニケーション、そして年に3回の対面での全社セッション。こうした形で、業務上のコミュニケーションの大半、体感では全体の95%ほどが成り立っています。残り5%は個々のメンバーがそれぞれ対面であったり、一緒に商談に行ったり、イベントに参加したりという感じだと思います。
こうした複数のレイヤーを通じて、メンバー同士がつながりながら事業を進めています。
そんな中で最近感じているのは、 テキストで表現されていることや、オンラインミーティング上でのちょっとした表情や言葉からメンバーの「感情」が読み取れるようになってきたということです。
これは単に、リモートワーク中心の組織運営を長く続けてきたことで養われた個人的な感覚だけではなく、 組織として「感情の扱い方」が上手になってきているからではないかと思っています。
感情の扱いというのは、感情を出す側のメンバーのことだけではなく、感情を受け取るメンバー側のことも含めており、さらには経営マネジメントとして組織感情に対する戦略的なマネジメントについても含まれると考えています。
最近読んだ、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2025年12月号に掲載されている 入山章栄先生の論文 「組織感情の理論 ― たった一人の感情で、組織の文化は変わりだす」も非常に示唆に富む内容でした。
この論文では、感情がどのように組織内で伝播し、文化や行動に影響を与えるのかが整理されています。
たとえば、
・感情は個人にとどまるものではなく、チームや組織全体へと広がること
・その結果として組織のパフォーマンスにも影響を及ぼすこと
また、「感情表現が表層的な演技だと認識されると、むしろ逆効果になる」という指摘もあり、 感情の“真実性”がいかに重要かが語られています(同論文)。
話を少し戻して、NOKIOOの中の日報やチャットやオンラインミーティングからそうしたことを感じたことがあり、ある日の自分のメモに、こんな一節が残っていました。
NOKIOOメンバーが、仕事を通じて喜んだり、悔しがったり、充足感を得たり。
そうした感情が動く機会をつくれていることが、場をつくる側として何より嬉しい。
あるメンバーが、昨年から取り組んできた顧客内での数か月にわたるリーダー育成プログラムを継続受注し、その喜びを共有してくれる。
同じ日には、別のメンバーが自ら立ち上げた大型案件のDay1を迎え、午前中はこちらまでソワソワ・ドキドキする。無事に終わったあとには、ホッとした吐息まで伝わってくるような感じがある。
また別のメンバーが新規サービスとして立ち上げている案件の顧客との骨のあるCSミーティングを終えて充足した表情を見せている。
一日の中で、こうしたエキサイティングな感情がチームの中でうごめいている。これが経営。経営をしているこちらも楽しい。
チャットの書き込みや、ちょっとした発言の断片から、これまでいろいろ対話してきた中で理解しているメンバーの関心やナラティブと結びつけて、「きっとこういう感情を抱いているのだろう」と感じ取れる。
時間や場所を共有していなくても、 感情が伝播している感覚があるのは、とても不思議で面白い現象です。
入山先生の論文には「感情表現が「表層的な演技である」と認識された場合、その感情表現は有効性をむしろ下げる」という記載がありましたが、当社内での感情表現に、不自然さや作為的、操作的なものはあまり感じません。
一方で変に感情を織り交ぜることが業務遂行や「事実をベースに学習し、チームを成長させる」*1を阻害することもあるので、感情の出し入れや使い方を組織内でどう暗黙の合意形成をしておくかはとても重要であるし、それをマネジメントしていくのが、「組織感情の戦略的マネジメント」なのであろうと理解しています。
NOKIOOの経営ミーティングでも、 意思決定そのものだけでなく、
「この決定が組織にどう伝わるか」
「どんな言葉で伝えると、どんな感情が生まれるか」
ということを、かなり丁寧に議論してきました。
決定事項は変わらなくても、その“伝え方”によって、組織の受け取り方は大きく変わる。
これまで痛い失敗もたくさん経験してきましたので、 組織の感情が行動やパフォーマンスに与える影響の大きさを身に染みて学んできました。
ということで、冒頭の動画に戻ります。
NOKIOOのメンバーの言葉から、どんな組織風土を感じたでしょうか。
その背景に、どんな感情が流れているように見えたでしょうか。




ちなみに、動画内にあった言葉で、個人的にとても好きな言葉があります。
「皆が真剣(Serious)だから、真剣にやることについて誰も止めない。 それを望んでいる人たちと一緒に働けている喜びがある」
この言葉は、今年の経営方針書にも引用させてもらいました。
こうした言葉や感情の積み重ねが、 組織の文化をつくっていくのだと思います。
こうした感覚的なものを、感情文化と感情風土の関係、感情伝播のメカニズム、EASI理論といった切り口で整理してくれていたのが、入山先生の論文でした。
これを元に、現在マネジメントチーム内で「自分たちの組織の感情をどうマネジメントするか」をテーマにしたワークショップをつくってみようと思っています。まずは自社や近しい方々と試してみたいと思っているので、関心のある方はぜひご連絡ください。
*1「事実をベースに学習し、チームを成長させる」 全員マネジメント7つの行動体系のうちの一つ













