2020.03.21
地方企業に必要な“ちょっとIT”事務人材
“ちょっとIT”人材
OT人材(オペレーショナルテクノロジー)
業務ハッカー
この人材を適切な言葉で表現するならば、どんな言葉がいいのだろうかと探し中だが。
地方中小企業のワークスタイルを内側から変革していくために、内部にこういう人材を作る、あるいは採用してくることが必要だと思う。
地方企業でワークスタイルが一向に変わらない企業の多さに、いい加減うんざりしてくるのと強い危機感を覚えているのは相変わらずなのですが。
新型コロナウイルスの影響により、物理的に人が集まること、移動することに制約が出てきて、この結果何が起こるかと言うと、これをきっかけに億劫だったテレワークに取り組み始めて、その結果ますますIT・デジタルツールを使いこなして、変化に適応して変わっていく東京サイドの企業・人材と、この変化に乗れずに死んでいく地方企業・人材の二極化が明確に出てくるのだと思う。
今の地方の中小企業において必要とされるIT・デジタルツールはシステムエンジニアやプログラマーではないと扱えないものではない。基礎的なITリテラシーと試行錯誤マインドがあれば、自分たちの会社のサイズや業務に合わせていかようにでも形を変えながらフィットする形を作ることができる。
ファイルサーバーをBOXに移行し、社内コミュニケーションはMicrosoft Teams、社外コミュニケーションやセミナー、イベントはZOOMで行い、社外コミュニティーとはSlackで行う。営業案件管理はBoardで行って‥‥これらはNOKIOOで活用しているクラウドツール。
過去はNOKIOOのシステムも社内のネットワークエンジニアに依存をしていて、ファイルサーバー、ネットワーク、VDIシステムなどを使っていたが、どうにもエンジニア依存になり、組織形態の変化や事業やプロジェクト側の変化に機敏に対応できずうんざりしていたが、ここ2,3年で全てのシステムをクラウドサービスに移行することで、非エンジニアである管理チームメンバーが事業側の状況に合わせて機敏に形を変えられるようになった。
この変化は大きなものである。
地方中小企業にとってのDX化はまずはこういうバックオフィス側、コミュニケーションツール側にあると思っている。事業サイドをデジタル領域に持っていきデータ活用やサービス提供形態にデジタルを活用した事業に変革していくのが、本来的なDXのかたちだと思うが、そのずっと手前の自分たちの働き方の現場にデジタルツール、クラウドサービスを落としてくることが急務だと考えている。
そのために必要なのが社内の“ちょっとIT”が扱える人材を社内に入れること。
ちょっとITが扱える若い人材にどんどん試行錯誤させることだと思うが、これまた経営者やマネージャーがITに対する理解度が低く、ガラケーを使い、横文字は分からん、と言っているケースが散見され、そうなるともうどうにもならない。IT理解度が低く、横文字が分からないのは明らかな経営者やマネージャーの勉強不足。即刻経営から退場すべきだと思う。そんな経営が会社のハンドルを握ってたら間違いなく会社はおかしくなるし、働き方改革・生産性向上のスタート地点にも立てない。
僕が見てきた浜松での地方企業のデジタル化に向けたステップについて、進んでいる企業の2つ事例を紹介したい。
一つ目は建築系企業。新卒で入社してきた社員が、紙の多さ、アナログによるやり取りの多さに驚き、普段からスマホ、タブレットネイティブな若手人材に“おかしい”と思えるところをどんどん挙げさせ、解決策を考えさせ、あっという間に全社員タブレット所有のペーパーレスになった企業。“ちょっとIT”が分かる若手人材を信頼し、DXに向けての1歩目を踏み出した好事例。
二つ目は製造業。社長が自らWEBを活用した営業活動、デジタルマーケティングを試行錯誤。自ら感覚値をつかみ、どういう温度感やスピード感でデジタルツールを使った顧客コミュニケーションをとれるのかを体感。その後MA(マーケティングオートメーション)ツールも思考をしてみ始めたタイミングで、社長直下に“ちょっとIT”事務人材を採用。(※ちなみにNOKIOOが採用をご支援(こちらのプログラム))
現在はWEBマーケティングの塩梅が“分かった”社長が全体戦略やスピード感をハンドリングしながら、直下の事務人材がWEB更新、MA運用、WEB解析、WEB広告管理を実行している様子。
今春からNOKIOOでは、2019年度まで3年間浜松市IT人材育成・就業支援事業として実施してきた地域人材の育成・就業支援プログラムを自主事業化し「リ・キャリアプログラム」としてスタートする。このプログラムでは数か月間、地域人材のキャリア教育、ITリテラシー教育、アジャイル仕事力(試行錯誤力)のための教育を行い、地方中小企業の現場で“ちょっとIT”を使いこなしながら、地方企業の働き方を変え、生産性を高めるためのきっかけを作る人材を育成し採用支援をしていく予定です。