2025.03.23
問いの蓄積は資産である
今回は浜松4期と東京2期、2つの地域でのプログラム修了でした。
それぞれ最終日の修了リフレクションでは、これまでの数か月間の学びを振り返り、各々の変化を言語化し、そしてこれからの自社のチーム仕事の中での取り組み方について宣言をグループワークで実施しました。

次世代リーダー育成プログラム リフレクションセッションでの気づき
そんな修了リフレクションに立ち会い、最終盤の受講者の皆さんのグループリフレクションのプレゼンテーションに対して、講評とフィードバックをさせていただきました。
そんな中から、今日のこのブログのタイトルでもある「問いの蓄積は資産である」につながる気づきがありましたので、その共有をしていきたいと思います。
東京開催のあるグループの振り返り発表です。当日のグループ対話のアウトプット模造紙を共有しますが、この中にある「問題=資産」という視点。他のグループからもこの着眼点に対して「面白いね!」と賛同を示すシールをいっぱい集まっています。

その「問題=資産」の横にあるポストイットを見ると、“あるべき姿(to be)”と“現状(as is)”のギャップにあたる部分が“問題”であり、それこそが次のアクションや変革の起点になる“資産”だという見立てでした。
なるほど・・・・と。
問題を「問い」に置き換え、自分自身の経験にも照らしてみると、問いを立て、それを持ち続け、然るべき時にそれを使う、ということは自分にとって、チームにとっての「問いの資産」であるということとピッタリつながりそうだと感じたのです。
問いとは、可能性を開く“未解決のタネ”である
あらためて”問い”とは何か。問いの特性に着目をすると。
・問いは思考の方向を定め、個人のチームの次のステップへの導きをしてくれる。
・ただし、良い問いとして問いの設定がされないと、問いが悪くて思考や議論を彷徨わせる。
などいくつか問いの特性があるが、
・問いには、”今すぐ解かれるべきもの”と、”時が熟すまで静かに待ち続けるもの”がある。
という特性もあると考えます。この特性と今回のテーマがリンクするわけです。
自分の中でその問いに関わると思われる経験や情報に触れること、チームにおいてもチームの共同体験や、チーム内の対話が深まることで、問いを解き始めるのにちょうど良いタイミングが来ること。
そう考えると、個人においてもチームにとっても、すぐに解き始めるわけではないが、持ち続けている問いがあるというのは、それが資産であり、問いの蓄積は自分やチームの学習の履歴であり、将来を拓くものであると言えそうである。
問いという資産の作り方と、資産管理の仕方
では、問いを資産に見立ててどのように資産管理をしていくのか。
これは、僕自身とNOKIOOでの取り組みが参考になるかもしれないので、ここで紹介をしておきたいと思う。
まずは個人編として自分自身の取り組みとしては、僕は常に小さなノートを持ち歩いている。これは自分の中では「イシューノート」と名付けていて、ふと浮かんだ中長期で考えるべき問いをメモしていくノートである。今は踏み込んで考えられないけど、いつかその問いに対して答えを出していかなければならない問いを箇条書きしていきます。
先ほど触れたように、問いは今解くべきか?のタイミングが大事だし、問いを解かずとも持ち続けることによって、その問いと関連しそうな情報や事象が目に入ってきます。
定期的にイシューノートを見返し、そろそろ答えを出していく段階に来たかな?を確認し、解くべきタイミングに来ているものをピックアップしていく。
またよくあるケースは、しばらくぶりに過去の問いを見返すと、既に解決・答えの出ているものもあり、それはどんな解を出したかを振り返りながら、問いに上書き線を引いて「完了」にしていく。
ここまでは個人的な取り組みとして習慣化されているものだが、今度はNOKIOOというチームでこれに該当するような取り組みがないかを考えてみるといくつかある。
例えば、以前は「●●ミーティング」という場に対比させるかたちで、「●●トーク」という場づくりをしていた。マネジメントミーティングがあれば、そのミーティング参加者を集めたマネジメントトーク。役員ミーティングがあれば、そのメンバーでの役員トークという感じです。
ミーティングは既定の時間内に何を議論するかがアジェンダとして設定され、その議論を効率よく進めていくための議論の枠組みや事前情報も揃っている。そういうタイプの場では、目的を定めない自由な話や、その中にヒントがあるかもしれないエピソードトーク、少し気になったこと、何か自分たちの活動に関連するかもしれない情報などが見落とされるため、アジェンダのないおしゃべりの時間としてあえて定めた●●トークという場を作っていました。
このトークの場は、自分自身にとってはチームの中にある問いを探す場として設定をしていました。何となく話をする中に、自分たちが将来解かねばならない問いが隠れているケースがある。その後の定期的ミーティングでのテーマ探しとも言えるでしょう。
同じような場づくりという意味では、たまに行う場所を変えたワーケーションや、年3回の全社セッションでも事業を推進していくにあたってメンバーの中に内在化されている問いを抽出して、全体に可視化するようなワークをしています。
こうしてトークや全社セッションなどで出てきた問いを、チームの問いとしてストックしておいて、以降の定常サイクルのミーティングにおいてしかるべき時に、ミーティングオーナーがアジェンダに入れることで、その問いを解いていくタイミングを迎えます。
問いをB/Sに、アクションをP/Lに
冒頭の次世代プログラムの修了リフレクションへの立ち合いの一コマで見た「問題=資産」のワードから、そのメタファーでの捉え方がいいね、ということで話を展開してきました。
会社組織において事業活動のアウトプットは財務的にはP/LやB/Sに表現がされてきますが、チーム内のコミュニケーション活動でのアウトプットを同じように捉えると、チームで「問いをストック」することはまさにB/Sの資産になっていき、解くべきタイミングでその資産である「問い」を活用して、それを解いて事業を前に進め、今の事業活動の売上(P/L)などにつなげていく。
P/Lを作っていくためには、その元手になるB/Sが必要であり、いかに将来解くべきチームの問いという資産を作っておくか、という観点で、チームで資産づくりの問いを出す事が大事かもしれない。こんな例えを使いながら、チーム内で「問い」を持つことの重要性をチームメンバーに理解してもらうのはどうでしょうか?
そうやって時間軸を少し広げて問いを出す行為であれば、多少ズレていても、捉えていなくても(要するに問いの設定力がまだまだなメンバーも)安心して、発言ができるし、リーダーはそれを今すぐ扱う、捌く必要が無いため、いろんな質の話が出ていても許容ができますね。
そんな問いをためる、持ち続ける、深める文化がチームにあるといいかもしれない。
またチームメンバーからすると、自分が投げた問いが事業を動かす推進力になる感覚を感じるのはこれまた違ったチームへの貢献の感覚が得られるかもしれません。チームリーダーはシレっと、「あの時、●●さんが上げてくれた話から、このテーマが生まれたんだよね」と加えておいて、その感覚を感じてもらうのも大切かもしれませんね。
越境型次世代リーダー育成プログラムは2025年度も引き続き実施をしていきます。
浜松5期 2025年5-9月
浜松6期 2025年10月-2026年3月
オンライン1期 2025年8-12月
チームの未来をひらく“問いの文化”を、一緒に育てていきませんか?
私たちは、組織を超えて問い合い、学び合う仲間を、これからも増やしていきます。
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