2022.12.24

挑む中小企業プロジェクト - 我々も2周目の「挑む」をしよう

2022年も残りわずか。2023年の入り口が見えてきたこの年の瀬に、NOKIOOが本社を置き、僕にとっては生活・ビジネスの中心である浜松でにわかに熱いプロジェクトが動き始めています。
 
「挑む中小企業プロジェクト」
 
 
 
株式会社Wewillが中小企業庁ビジネスモデル構築型補助金をベースに、この浜松地域の「挑む」意志のある中小企業企業の変革プロジェクトを動かし始めています。
僕としてはこのプロジェクトの主旨への強い共感と、ここ数年の自分達の背景、そしてそれを牽引するWewillと代表の杉浦さんとはお互いに経営者仲間としていろんな苦労を見てきた思い入れがあるため、ブログで紹介させてもらうことにしました。
 
 
 
代表の杉浦さんとは2016年秋の出会いでした。一般社団法人G1が開催するG1地域会議が浜松で開催され、有難いことに推薦・招待をいただき参加することになったのですが、昼のセッションが開催されたスズキ歴史館から、夜のセッションが行われるアクトタワーへの移動のバスの中で席が隣になったことがきっかけでした。税理士らしくない税理士で、IT・デジタルを使って何か仕掛けようとされているスタンスが、スタートアップ的で素敵なマインドだなという印象を覚えており、NOKIOOも当時第二創業だと掛け声をかけながら、次のステージにどう変革をしていくか、その心意気は整ったけど打ち手をいろいろ模索していた時期だけに、打ち手が決まれば杉浦さんにも参画をしてもらったり、知恵を出してもらうと面白いのではないか、、、と思っていた覚えがあります。
 
 
2016年からのNOKIOOの「挑む」は何だったか
 
さて、2016年ごろからのNOKIOOの変革、「挑む」ことはどんなことに挑戦をしてきたのか簡単に総括をしみます。大きく分けて3つのステップを紹介したいと思います。
 
 
1つ目は、当時の目の前に差し迫った課題として、会社の管理・バックオフィスの社員が辞める、入れ替わるという状況があり、バックオフィス業務の仕事が唯一の事務員に張り付いている状態(これはWewill的言葉ですが)による困りごとを抱えていました。
 
しかも会計処理の仕方もスタンドアロンな会計システムを中心として、紙を中心とした処理、そして業務フローは事務員の頭の中。当時、創業からは4,5年が経過していましたが、僕は営業サイドを中心に顧客・フロント側にはいろいろ目を向けていたのですが、バックオフィスの在り方については頓着が薄かったのです。そしてバックオフィス人員の入れ替わりという事象を起点に、これは困った・・・永続性が無いということに気づきました。
 
そんなタイミングで前述の杉浦さんとの出会いもあり、彼の所属する税理士法人Wewillと、後に立ち上がる株式会社Wewill(当時はWewill accounting associateという呼びにくい社名(笑))に伴走パートナーとして入ってもらい、バックオフィス業務の棚卸しから、クラウドベースの会計業務へ移行を。そして複数人のバックオフィス人員を抱える余裕もないところから、一部の業務をWewillメンバーにアウトソースするという体制を2-3年かけて構築をするということを行いました。
 
お陰で当社の会計を中心とするバックオフィスは、完全デジタル化、業務もSaaSのベストプラクティスをベースとして作られ、場所や組織にとらわれずデータの共有が可能になりました。この後紹介する当時進めていた組織の働き方の変革や意識変革にも、結果的にこのバックオフィスDX化による業務デジタル化が思考に及ぼす影響という点で効いていったと思います。
 
ちなみに当時はDXという言葉はありませんでしたが、まさにこれがバックオフィスDXなのかと理解し、意味づけできたのは2019年頃でしょうか。
 
 
 
2つ目は組織の意識の変革とワークスタイルを変革すること。当時僕が社内にも社外にも出していたキーワードを並べたスライドはこちらです。
 
 
「20世紀的思考・キーワード」と「21世紀的思考・キーワード」として思考の変革を組織に迫りました。長年しみついてきた思考回路を変え、組織文化を変革することはそう簡単な話ではなく、そして、それに踏み切ることが社内でどれだけハレーションを生んだり、離退職者を生むのかも想像しきれない中でスタートを切ったため、この変革に着手したことが遠因で起こる組織内の出来事、ハレーション、トラブルに直面し、メンタルが削られる度に何度「やっぱり元に戻そうかな」と言いかけたか・・・
 
でも後戻りはできないんですよね。戻る場所がない感じ。だから前を見て、変革し続ける、そうだと信じる在り方・スタンス・考え方を主張し続けるしかない時期でした。
 
気持ちのバランスを崩して、思考のバランスも崩して、物理的身体のバランスの崩れから高所落下し大けがしたのも、一連の繋がりだったのだろうと思ってます。
 
 
取り組んだことは
 
●社内に情報が四方八方に流れるように情報の流れを変えること。そのためにコミュニケーションツールを、その思想に基づき設計開発されたクラウドツールに変え、情報共有や対話の在り方を変えたこと
 
●組織横断のプロジェクトなどをいくつも立ち上げ、社外を巻き込み、従来の固定的統制型組織とは異なる組織デザインを取り入れたこと
 
●社外に人的ネットワークやコミュニティーを作り、社員を連れ出したり、その企画・イベントに社員を駆り出したこと
 
などなど、取り組んだことは書ききれず。これらを仕組み化、習慣化しながら時間をかけて組織集団のものの考え方を変えていきました。
 
 
 
これは沢渡あまねさんのスライドをお借りしていますが、DXとは組織にデジタルツールを導入することではなく、デジタルに適応できる組織にトランスフォーメーションをすること。これまた当時は自分たちが取り組んでいることがDXであるとは理解していませんでしたが、今になって考えれば組織DXをしていたのだと振り返られます。
この思考変革、組織文化変革をやっておいて本当に良かった。
なぜならこの後の3つ目の事業開発に繋がっていったのは、この組織変革が無かったら生まれる下地が無く到底繋がらなかったと思うからです。
加えてこの取り組みをしていることが、沢渡あまねさんにも伝わることになったから、彼とのパートナーシップも生まれたのです。
 
 
 
そして3つ目は新規事業開発。自分たちが取り組むべきテーマをサービスにし、事業にし、成長戦略を描くこと。
 
2013年ごろから取り組んできた地域女性人材と社会の関係性開発の取り組みは、この前述の2つの取り組みをしている頃には、実際の女性や彼女たちの所属する組織のインサイトや、これらを取り巻く社会環境変化に何となく気づき始め、「育休中の女性の学びや復職を後押しするプロセスづくり」というアイデアが生まれてきていました。
 
当時、私たちがバイブルにしてこのアイデアをサービスや事業に昇華させるための取り組みプロセスを組み立てていったが、田所雅之さんの「起業の科学」。この本で示されていたスタートアップの科学を自分たちに理解し、議論し、試し、振り返るプロセスを組み立てていきました。

※当時のワークシート
 
 
 
 
その結果生まれたサービスが「育休スクラ」であり、これが現在のNOKIOOの新規事業部(RHR事業部)の誕生に繋がり、市場に参入する初期プロダクトであり、次なるサービスに発展していくためのR&Dとして大変重要な役割を果たすことになったのです。
 
 
ここまでの3つの取り組みは、個別活動に見えながら、全てつながっている。バックオフィスDXがされていなければフロントでサービス開発をし、試行錯誤でオペレーションをしようとしても後方業務がついていくことができない。そもそも何もないところからサービスを創ったり、事業開発をするにあたっては社内外からオープンに知恵を集め、ディスカッションし、失敗を奨励し、徹底的顧客志向である組織カルチャーが無いとできない。
 
 
そう考えると
 
事務DX + 社風・文化DX ⇒ 事業DX(価値DX)
 
 
DXはいくつかの異なる要素が合わさり、繋がり、本質的なDXになっていくんだと理解に至ったのですが、実はこうやって整理してストンと理解したのは、下記のスライドを見た時でした。
 
 
 
 
 
 
このスライドは冒頭ご紹介した株式会社Wewillの「挑む中小企業プロジェクト」のコンセプトで示されていたスライド。
 
そして、このプロジェクトの具体的中身・セッションは以下の3段階のプログラムとなっているのです。
まさにNOKIOOが2016年から取り組んできた3つのテーマじゃん!と。
 
 
 
 
 
(うーん、このプログラムが2017年頃にあれば・・・いろんな知見、専門家の支援を借りながら、自己投資ももう少し抑えつつ、、、と思ったのは否めませんが、)
 
僕が3-4年前から地域で活動をしていた「未来型ワーク企業」という考え方と、それを創り出すために浜松地域の企業へいろいろ働きかけたい、どう貢献できるか、という問いの一つの答えが見つかった気がした。
 
このプログラムをもっと広く知ってもらい、浜松の「挑む」中小企業に参画をしてもらうことだと。ということで、NOKIOOもこの事業のコラボレーターとして名を連ねさせていただいています。
 
 
このプロジェクト・事業の案内サイトはこちら
https://wewill.jp/project2022_monohojo/
 
 
そしてここにもう一つ大事な要素があるよね。というのが、先日、杉浦さんと議論している中でのお互いの気づき。この部分の下に、企業としてのパーパス・ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)があり、それが定まって、牽引役となって、そしてDX(変革)の過程の困難に打ち克つ幹になるのではないか、ということです。
 
 
 
ということで、NOKIOO自体はMVVを再度議論し、言葉にし、体系化して組織に落とし始めたのは2021年春から。MVVを明確に定めた今、2周目のこの3ステップに取り組み、1週目からスパイラルアップさせる「2度目の挑戦」をしたいと思うのでした。
  • NOKIOO
  • 小川健三