2020.07.08
自分の頭で考えること
久しぶりのブログ更新です。発信活動が久しぶりか?というとそういうわけではなくて、むしろ4月1日からこの3か月半は、毎日何かネタや伝えたいことを考えて別手段で発信をしていたので、なかなか発信チャネルとしてブログに気持ちが向かいませんでした、というのが正直なところ。
4月1日からNOKIOOは原則在宅勤務となる中で、社内メンバーに僕から温度感を持って考えていること、起こっていることを伝えたいということで平日毎朝5分から10分くらいの「社長ラジオ」を配信し、7月8日時点で合計71回を重ねました。何となく社員に大事なポイントやワードが伝わっている感覚と、自分の考えを声で言語化する自身のトレーニングになると思って続けています。
社長ラジオについては今回の本題ではありません。
本題はこちらです。
さて、昔、僕が経営者としてよちよち歩きし始めた頃、組織運営の色んな悩みや課題を抱える中で、取った行動は何だったでしょうか?
例えば著名な経営者の講演を聞きに行き、そこでインプットした組織運営の考え方や手法に対して“いいね!”と思って、社内にそんな話をしてみた。忘れもしないトーマツベンチャーサポートのイベントでGMO熊谷社長の話を聞いて、表層的にその考え“いいね!”と思って社内展開したら、役員の中原さんから痛烈批判をいただいたり。
トーマツイノベーション(当時社名)の「自走組織」なる研修を受けに行って、その中で知った「会社が変わった!すごいしかけ」という本を買って、そこに書かれているしかけ(取り組み)をやってみたり、、、、、
こうした取り組みがことごとくすべったというか、むしろ社内からの無言レスポンスとして白けをお返しいただいたことが忘れられない。
無言のレスポンスの奥にあったのは「で、本当に小川が“自らの考えとして”大事だと思うこと、やりたいこと、取り組みたいことって何なの?今見せられたそれって、自分の頭で考えた結果出てきたものなの?」ということだと思ってる。
今振り返るとそれがわかるのだけど、当時はすぐには分かりませんでした。
結論を言うと、人から借りてきた考え方やフレームワーク、モノの本に書いていたことなんて、その抽象化されてきた過程を自身が経験として踏んでこないと全く役に立たないし、使えない。
周りからすると自身が経験として踏んでもいないのに、他から持ってきた考えやフレームをかざされても理由が分からないし、説得力が無い。Why?な感じなんだよね。
要するに「自分の頭で考えろ」っていう話だと思う。
自分を取り巻く環境や期待されることが変わった時、その状況を何とか“早く”打開したい、結果を出し期待に応えたいと思うと、ついつい答えっぽいものを持っている人に「答え」を求めに行ったり、成功者・権威者のミラクルワードを頼ったり、そしてモノの本に書いている手法・フレームワークを使えばいいのでは?と思ってしまうのだけど、そうじゃないんだよな。ベースは自分の頭で考えること。
自分の頭で考えた結果のフレームワークや手法論、取り組みを作ろう。
そしてそれが結果的に世の中でよく言われるフレームワーク・手法論、取り組みとして言われていたのであれば、世の中でなぜそれらが重宝されるのか?それを支持する人の話を聞く中で、自分の経験値とマージされてきて、さらにそれらに対する理解が深まり、本当の意味でそれをものにしていくことになるのだと思う。
例えば、サービスデザイン思考とかデザイン思考、カスタマージャーニーという手法や考え方。これってここ数年で新規事業開発をする上で重要なフレームワーク、思考法ということで言われるようになったけど、僕らは無学で無知でアンテナも当時そんなに高くなかったから、2013年頃ってそんな手法も思考法もフレームワークも知らなかった。
でも、育児期の女性がどんなことを感じ、どんな生活をし、どんな悩みを抱えながら社会との接点探しをしているのだろう?ということをひたすら追い続け、対峙し続けることをする中で、地域社会における女性の真のニーズや生活の中でこうしたテーマに関わる情報やサービスとどう接点を持っているのか、などを理解してきた。これってサービスデザイン思考的なアプローチで行くところの、顧客観察、顧客対話、カスタマージャーニーの理解だと思う。
サービスデザイン思考やカスタマージャーニーを知っていて、そういうアプローチをすることが書かれていたからそうしたわけではなくて、突き詰めて自分の頭で考えて「今何するべきか」を考えた結果、そういうアプローチを取っていた。そのアプローチの結果、少し時間を経る中で当時自分たちが取っていた行動の意味が定義づけられてきて、「顧客観察」ってサービスづくりの段階で本当に大事なことであることに気づき、そのうちようやく僕らの低いアンテナに「サービスデザイン思考」や「カスタマージャーニー」というフレームワークや思考法が引っかかり、ここで書かれていることってまさにやってきたことじゃん!と。
そして、その本なり記事なり、講義などを聞く中で顧客観察がなぜ大事かということを、より上位概念や別確度から説明してもらって、自分たちが気づきを重ねてきたことが「確信」に変わっていく。
こんな感じです。伝わりますでしょうか?
とにかく自分の頭で考えること、安易に答えを求めに行かないこと。
そうしないと、自身から出てくる方針・打ち手がいつまでたっても他人からの借り物であって凄みが出てこないと思うのです。
ということを、昨日、育休スクラ(育休人材のオンラインスクール)で論理思考研修の講師をする中、その準備の過程の中で、自分の中で「問い(イシュー)」を立てて、自分オリジナルの、そして自分の経験値の中かから、その問いに対する答えを作ることが、チームや組織を引っ張るリーダーにとって大事だなあ、と再実感したので言語化してみました。
【育休スクラの様子】
論理思考力で学ぶフレームワークや思考法は「自分の頭で考える」ための普遍的な道具立てだと思うのです。だからサービスづくりやチームマネジメント、デザイン制作、営業商談、レポート作成、企画書作成といった、より実務に近いレイヤーで使う「自分の頭で考えたこと、もの」を作っていくあたって、スタートラインに立つための思考力だな、と思う。
おしまい。