2020.04.19
「考える」と「悩む」の違い
フルオンライン新入社員研修でオンライン研修の講師デビューをした。
僕の受け持つパートは「論理思考講座」。
講座では具体的に内容に入る前に、受講する新卒社員の皆さんに対してなぜ論理思考がめちゃくちゃ大事かをお話しするようにしている。
いくつかその理由をお話ししているが、そのうちの一つが「「悩む」と「考える」は違う」ということ。「悩む」とはどういう状態で、「考える」はどういう状態なのかをイメージしてもらい、「考える」技術を身につけておくことがどれだけこれから仕事をしていくうえで大事なのかを理解してもらうようにしている。合わせて「悩む」状態になっていることが不健全で自身のメンタル不調につながるのかということも含めてお伝えしている。
「悩む」のはこんな状態
●頭の中がグルグル回っている、出口が見えない、何が問題なのかが見えない
●感情が中心である、困ったなあ、嫌だなあ、辛いなあ・・・
●自信がもてない。実は自分はこうだ!というものがあるんだけど、その結論に自信がない。
●ネガティブモード
対して「考える」のはこんな状態
●前進している感じがある。結論に近づいている感じがする。
●事実が中心、あれがこうで、こんな情報があって、躓いているのはこの部分で・・
●作ってきた結論に対して、自信をもっている
●当然ポジティブモード
どちらでありたいか?当然後者でありたいわけだから、そのために「考える手法」「考えるためのテクニック」が必要なんだよ!ということで、それがイコール「論理思考」なんだと。
論理思考力は、世の中全般の働き方や働くうえで扱っているテーマが大きく変わってきている中でより必須能力になってきている。それはNOKIOOが会社の成長過程で世の中よりも早く働き方をガンガン変えてきたことと、扱うテーマも顧客の指示通りにソフト開発をするということから事業・サービス創造するということにシフトする中で自分たちの経験を通じて感じてきたことだ。
世の中全般的に働き方は個人の裁量に委ね、今や在宅ワークやテレワークが主体で、クラウドコミュニケーションツールを使いながらチームメンバーと協働していくスタイルが主流になりつつある。またビジネスで扱うテーマも、以前のような目に見える商材ではなく無形のサービスや体験価値をバリューとして、どうやってそういうバリューを生み出すか?というテーマに変わってきてる。今回のコロナショックがこれに拍車をかけて、この流れは急激に加速する。
組織は事業モデルの変化に伴いヒエラルキー型組織からネットワーク型(鍋ぶた型)組織に変わっていく。
こうした働き方、組織のかたち、ビジネスで扱うものが無形のものに一気に変わっていく中で、この変化の中でパフォーマンスが上がらないメンバーや残念ながらメンタル不調で躓いてしまう人も出てくるだろう。マネジメントはそこをフォローアップしたいと思い、手を尽くすのだろうが、そういう人に共通するのが「考える」技術が身についてなくて「悩む」状態に陥いってしまっているのだと思っている。
周りが手を差し伸べて、一緒に状態を脱しようとするけれど、どこで躓いているのか何が課題なのかがうまく説明できないから、どう解決していくのかが見つけられない。周りが考えて問題をどう切り分けて、構造化することができれば何とか打ち手が見つかってくるけど、本人に考える手法が無い場合は、それを引き出していくのは相対する相談応対者にもかなり高度なテクニックが求められてしまう。
外形としてのテレワークはこれからどんどん進むだろうが、その中でこういうことが起きてくるだろうから、新入社員だけでなくぜひ働く人みんなに論理思考力を身につけてもらいたいと思っている。ワークスタイル変革の第1歩は論理思考を身につけて、論理的に自分たちの働き方を見てみることだ。
コロナショックによるテレワークで問題となっている印鑑問題も、
冷静に論理思考で論理の三角形を作ると
「書類は元々データで作ってます」
「受け渡しは電子メールで行います」
「目的は書類に掛かれている内容で双方合意をとることです」
⇒結論:印鑑は不要です
だよね。
といったことを、僕もNOKIOOの進化過程で気づいたので2015年以来、毎年社内講師を務め、入社してくる新しいメンバーと一緒に論理思考(クリティカルシンキング)社内研修をやってきている。働き方の進化と個々人の論理思考の成長はセットで進めなければならいと思う。