ワークスタイルブログ

ワークスタイルブログ

2019.11.27

ミライの働き方2019〜企業価値を高める本当の働き方改革〜研修レポートVol.2

2019年10月29日(火)あいホール(浜松市男女共同参画・文化芸術活動推進センター)にて、「ミライの働き方2019~企業価値を高める本当の働き方改革~(以下、「ミライの働き方2019」)」を開催しました。

「ミライの働き方2019」は、浜松市が主催する「ワーク・ライフ・バランス等推進プロジェクト」の一環です。組織開発やワークスタイルの専門家である沢渡あまねさんを講師に招き、実践的な働き方改革の手法を学ぶ、全5回の研修プログラムとなっています。

第3回は「これからの時代に必要なマネジメント~リーダーの意識とスキルを更新しよう~」をテーマに研修会を開催。23名の受講者はワークショップを通して「職場の問題」について考えました。

本レポートでは、研修会の内容をお伝えしていきます。

 

1.マネジメントとは

「マネジメント思考は、管理職の方だけでなく、誰にとっても役に立つ考え方です」と沢渡さん。例えば…と、「マネジメント」がつくワードを挙げていきます。

● コンフリクトマネジメント

● コミュニケーションマネジメント

● ブランドマネジメント

● プロジェクトマネジメント

など。管理職だけではなく、現場担当者も業務に取り組む中で、必要になってくる思考でもあります。

 

「マネジメントとは、「不確実性(不安)」といかに向き合い、自分たちなりに明確にしていくか、あるいは意味付けをするかということです」

という言葉に、受講者の方もうなずきながらメモを取っていました。

組織やチームでいかにそうした不安に向き合っていくか、そして人を巻き込んで解決していけるか…がマネジメントの重要な役割です。

2.アイスブレイク: 部下育成の悩みアレコレ

「マネジメント」について再認識した後は、グループでのアイスブレイク。沢渡さんの著書「マネージャーの問題地図」の第4章「モチベートできない・育成できない」をテーマに、日頃問題であると思っている事象や原因、背景などについて意見交換しました。

 

3.グループディスカッション1:事前課題から考えること

今回、研修参加者には、2つの改善事例の記事を読むという事前課題が提出されていました。一つ目は、栃木県宇都宮市にある個人経営の梨農家「阿部梨園」の経営改善の事例です。

個人経営ながらも、新しい技術を取り入れ、オリジナルパッケージを作り、百貨店などの取引先も増加中。ところが、経営や組織づくりでは課題を抱えていた阿部梨園。

まずは、「プロミス100」プロジェクトとして、2~3時間程度でできる改善から着手。経営改善の前提となる数字がなかったため、とにかく目に付く簡単な改善を進めたそうです。例えば、事務所の掃除、資材置き場の表示、店頭のポップ作成など。このプロジェクトは、一人のインターン生がスタートしたものでしたが、次第に周りを巻き込んで実施されるようになり、3か月で70件の業務改善を行ったとのこと。

その後、前提となる数字の収集をし、翌年は収集した数字をもとにした計画作成や営業目標の作成ができるようになり、分業体制も整ってきました。継続した2年間の蓄積から、経営の全体像がみえてきたと同時に、人材の育成や獲得にも手ごたえを感じてきたのだそうです。

二つ目は、トヨタグループの自動車部品メーカー「豊田合成」の職場風土改革プロジェクト 「イクボス塾」の事例です。

管理職になることに魅力を感じない従業員が増加傾向にある実態を受け、魅力ある働き方づくりを目指すとともに、組織風土の要となる管理職のマネジメントのレベルアップを図るこのプロジェクト。

「今までのマネジメントの限界」を感じ、自らのマネジメントと組織文化を変えようと、ある管理職がプロジェクトをきっかけに、変革に取り組み始めました。

まずは、個々の制約条件を把握するため、ワークシートを配布し、チームメンバー全員に記入をしてもらったそうです。自己開示しやすくするために、きっかけづくりとしてワークシートを用意したとのこと。チームメンバーからは様々な意見が寄せられましたが、すべてを受け止める覚悟をもって一人ひとり丁寧に向き合っていきました。

「本音を言っても受け止めてくれる!」という部下と上司の信頼関係が、現場のリアルを知るために重要なポイントなのだそうです。

変革に取り組んでいるその管理職の方も、自身はトップダウン型のマネジメントをしてきたと言います。しかし、業務の複雑化、多忙化が原因でチームが疲弊していくのを見て、メンバーの向き/不向きを見極めながら、本人の成長を正しくサポートするためにも、トップダウン型マネジメントでは限界があると気づいたとのこと。職場でプライベートな共有をし、「子どもの行事に行きたい」「旅行をしたい」などの夢も語り合う。そんなチーム作りを通して、エンゲージメント(組織や仕事に対する愛着や誇り)を醸成することにより、組織風土は変わってきています。

これらの事例をもとにした課題に対して、研修ではグループディスカッションを実施しました。

自社のマネジメント課題と紐づけたり、改革に取り組むスタンス、アイデアなどの気付きを共有したり、グループでの学びを深めていきました。

4.これからの時代のマネジメント

事例を通して、これまでのマネジメントとこれから必要とされるマネジメントの違いに意識が向き始めた参加者に対し、「『管理』には、3つの意味があります」と沢渡さん。

『管理』を英語で表すと、『Manegement(やりくり)』『Cotrol(統制)』『Administration(事務執行)』。3つの異なる業務を行い、さらに「生産性を高めよう」「働き方を変えよう」「ダイバーシティ」「エンゲージメント」と次々と課題は投げ込まれ、日々刻々と取り組まなければならないマネジメントが増えている現在。

すべてを一人の管理職で抱えるには限界があります。

「必要なマネジメントと足りないマネジメントを見える化して、チームで克服していくことが大切」と沢渡さんは話します。

5.5つのマネジメント9つの行動

続いて、これからの管理職に求められる5つのマネジメント(※)と9つの行動(※)を解説いただきました。

※1「5つのマネジメント」とは

● コミュニケーションマネジメント:上司と部下、メンバー同士、部署間、社外と社内など業務遂行に必要なコミュニケーションを定義して、設計して、発生させる。

● リソースマネジメント:必要なヒト・モノ・カネ・情報・能力・機能を特定し、調達する。

● オペレーションマネジメント:日々の業務が効率よく回るよう、また、問題やトラブルを迅速に解決できるよう仕組みを整える。

● キャリアマネジメント:組織と個人の成長に必要な要件(スキル、経験など)やストーリーを定義する。メンバーに機会(教育、経験の場)を提供する。

● ブランドマネジメント:組織および担当業務の価値を高める。社内外からより良い人材が集まるようにする。

※2「9つの行動」とは

1.ビジョニング:その組織(会社/部門/課/チーム)が目指す方向は?何を大切とするかを示しメンバーに方向付けできる。この組織でどんな仕事ができて、どんなスキルが身につくのか?少し先の未来を示すことができる。その組織「らしさ」を語ることができる。「らしさ」を体現している人(ロールモデル)を承認する、また、正しく評価する。

2.課題発見/課題設定:その組織が解決する問題を特定し課題設定できる。チームと個人が成長するためにチャレンジするテーマを設定できる。メンバー全員の問題、課題に対する景色を合わせる。

3.育成:その組織のミッションを完遂するために、また、より高い価値を出すために必要なスキルを定義できる。
メンバーになにが足りていて、なにが足りていないかを可視化できる。
OJT/OFFJTを計画し実行管理できる。将来(個人と組織の成長)に対して投資する。

4.意思決定:迅速かつ適切に意思決定する。部下に権限委譲し、意思決定や優先度付けを支援する。

5.情報共有/発言:その組織のビジョン、ミッション、方向性、意思決定に重要な情報などをメンバーに迅速に共有する。検討状況や進捗状況を共有する。社内外の情報をメンバーに共有する。自組織のらしさや方向性、取り組みや成果を社内外に発信する。

6.モチベート/風土醸成:メンバーをモチベートする。メンバーが課題解決や組織の価値向上に向けてチャレンジする機会や大義名分を作る。

7.調整/調達:組織のミッションを完遂するために、足りないリソース(機能/スキル/労力)を明確にし、予算を確保して社内外から調達する。メンバー同士の組み合わせにより、あるいは外の人の力を借りることで、ミッションを達成できる。

8.生産性向上:個人個人の生産性がもっとも上がる環境を提供する。成果の見えにくい仕事、すぐに結果の出ない仕事を評価する。

9.プロセス作り:メンバーが安定して成果を出せるためのプロセスを整備する、再構築する。

解説の後は、9つの行動に対して、マネジメントの自己判定を行い、マネジメントの振り返りを行いました。

 

まとめ:マネージャーの仕事とは

「色々な課題を抱えながら、一人(一組織)で悩んだり、何とかしようとしたりしていませんか」と沢渡さん。

マネージャーの仕事は「チームに能力と余力と協力を作ること」とお話しくださいました。

 

そして、「ダイバーシティ」「イノベーション」「エンゲージメント」など、言葉だけが独り歩きをし、本来手法の一つであったものが「目的」となっていないか、と改めて投げかけをいただきました。

最後に、「しつこいようですが…」と前置きをしながら、「健全な組織のバリューサイクル(※)」の重要性をお話しされました。「個人も組織も成長し、幸せになるために」「浜松から変えていきましょう」とメッセージをいただき、研修会は終了しました。

 

※バリューサイクルとは|

組織の価値を高めるブランディング手法。組織の価値を見出し、内外にファンを生み出す仕組みのこと。詳しくは、講演会取材記事後編「4.これからの時代のマネジメント」で解説。

 

参加者の声

・感じている問題を言語化できた。メンバーと共有することで気づけることがたくさんあった。

・漠然とした不満だったのが、何が問題でどう解決すべきか道筋が見えたと思います。

・管理職としてできていること、足りないものが明確になった。

・会社が抱える問題に当てはまりすぎて耳が痛かったですが、現状が認識でき、取り組むべきことが明確になることが改善の第一歩となると考えるから。 

「ミライの働き方2019」が、みなさまが働き方改革を企業価値と人材育成につなげていくための一歩になれば嬉しく思います。