2022.05.08

組織でこそ感じられる事業のダイナミズムと、心の葛藤や摩擦で磨かれる人間力。

組織に所属しているからこそ感じられれるダイナミズムや達成感、自己成長感覚を経験できる会社にしたい。
 
 
世の中の流れ、大きな傾向なのだろうが、組織に属せずにフリーランスや業務委託で仕事を請けたり、パートタイムで組織と関わる志向を持つ人がここ半年から1年の間に急激に拡大している感覚がある。
 
僕はNOKIOOでの人材採用の最前線にいて、実際、データベース型採用サービスを使って人材の抽出からスカウト活動に関わったり、毎週のようにカジュアル面談で多くの人とお話をさせていただく機会がある中で、この急激な変化を感じている。
 
一つのスタイルとしてそういう働き方も全くもって良いと思うし、選択肢が広がってきていることは素晴らしいことだと思う。
かつ、NOKIOO自体も多くのこうした多様なスタイルのメンバーにも支えられて事業の推進をしている。
 
一方で、こういうスタイルが社会的認知を広げ、かなり容易に選択しうる状況になる中で、本当に個人として独立した働き方を心底自分の価値観や求めるもの、生き方として選択をしたのか。それとも組織での仕事を通じて感じられる様々なダイナミズム、やりがい、成長機会という本質部分を感じた経験なく、前者の道を選択したり、希望している状況もあるのではないか?と思えるケースにも遭遇することがあり、その点について考えている。
 
 
組織・チームという器を活用し、組織・チームという形態であるからこそ実現できるダイナミズム、インパクトをNOKIOOという組織に所属して働いているメンバーには感じてもらいたいとあらためて思う。
 
先に述べたようなスタイルで、自分のできる範囲で、楽しく、無理せず、組織の成長やメンバーの育成・マネジメントという煩わしさからは解放されて、、という風潮が強まっている感じはするが、それはそれとして、その選択肢を取ることに異論はないが、一方で組織でこそ組織対組織の連携ができたり、資本の活用でダイナミックなことができる。ダイナミック=社会的インパクトを残せることでもあると思うし、自分の組織内での仕事を通じて社会により大きな影響を及ぼす経験ができるのだと思う。
 
 
またもう少し手前の話で言えば、多様なメンバーと働き、会社・組織であるからこそ、自分の力や意思決定の及ばない人事や同僚、先輩・後輩とのめぐりあわせがある中で、必ずしも自分とはタイプが合わなかったり、苦労をしたり、心の摩擦や葛藤を感じることも多々あるだろう。だが、何かの深い縁で一緒の組織メンバーとなった相手と粘り強く対話を繰り返し、苦労や困難に直面しながら一緒に仕事をする中に、人間としての成長や喜びがあるのだろうと思う。
 
組織の中でこうしたしびれる経験、噛みしめられる経験、心の摩擦や葛藤を振り返る中で見えてきた人間観はあっただろうか?
これまでを振り返る中でこうした感覚を感じ入ることの経験をしたことがないままに流行のスタイルに流れているだけでは無いことを確認してもらい、自分のこれからのワークスタイルスタイルを選び取って欲しいと思うのです。
 
 
一方で日本全体の傾向が僕の言う「自分のできる範囲で、楽しく、無理せずという風潮が強まっている」のであれば、本来であれば組織の中に先述したようなダイナミズムや自己が磨かれる出会い、機会があるはずなのに、それを感じさせてあげられるような組織で無いことに経営としての責任を感じるし、NOKIOOはもちろん、世の中の会社組織がメンバーにそういう感覚を持たせうる器に変革をしていかないといけないのだろうと思う。
 
と、諸々ここ最近感じていたことを綴り、表現していることを推敲する中で思い出したのが田坂広志先生の著書「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」である。
 
 
せっかく思い出したので本棚から引っ張り出し、以下に引用を記載させていただく。
 
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「荒砥石」
 
若き日に、人との様々な出会いの中で、人間関係の摩擦と葛藤を体験する。
 
ときに、鬼の上司と巡り合い、日々の厳しい指導を受ける。
あたかも砥石で砥がれるかと思うほどに、心が軋み、魂が鍛えられる。
しかし、少しずつ、エゴの殻が壊され、魂が磨かれていく。
 
ときに、虫の好かない同僚と巡り合い、いつも心と心がぶつかる日々を過ごす。
しかし、心と心がぶつかり合いながら、互いに成長していく。
少しずつ、互いの角が取れ、エゴが柔らかくなり、魂がしなやかになっていく。
 
人生には、そうした「荒砥石」とでも呼ぶべき体験があります。
 
しかし、何年かの歳月を経て振り替えるとき、我々は、気がつく。
 
その体験が、どれほど我々の心を深め、広げてくれたか。
その体験が、どれほど我々の魂を鍛え、みがいてくれたか。
そのことに気が付くのです。
 
だから、この言葉は、素晴らしい言葉。
 
「荒砥石」
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「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」 著者:田坂広志 p131-132から引用
 
 
 
こんなことを考えながら、僕にとって会社経営をすることの目的を一つ加えようと思った。
 
それはNOKIOOに所属するメンバーにはここまで述べてきた組織・チームで働くからこそ得られるダイナミズムや、心を鍛え人間成長をしていることを感じる機会を作り、その理解もしたうえで、長いキャリアの中で組織の中で働くことを主体にするのか、個を主体とした自由な働き方をするのか、それを判断させることである。
 
ある社員の日報で、こう書かれていたことが刺さった。僕が外部の方と真剣勝負のミーティング機会があり、そこに同席をしてもらった中で感じたことだとのこと。
「事業や市場のポテンシャルだけでなく、採用、育成、チーム機能や実行力、組織ガバナンスなど多様な面からの質問を聴くにつけ、人が集まって組織ができ、そこで事業が生まれて、さらに投資家だとか社外の人も巻き込んで育っていくって面白いしすごいことだなと思った。1人では絶対できない面白さ。」
 
そうそう、こういう面白さ。会社っていう器をうまく使ってこういう感覚を得られる経験をたくさんして欲しい。