2020.02.14

もっともっと武器としたい「言語化力」。NOKIOOで女性が活躍する背景

2015年の夏頃かな。
当時受講していたグロービスMBAの「リーダーシップと組織行動」的なクラスで、講師の先生からもらった強烈なメッセージの一つが「経営者の唯一の武器は言葉」だった。当時深く印象に残ったのと、年々その意味合いを自分なりに理解を深めながら、本当にこのメッセージが的を得ていると思うし、もっともっと言語力、言葉の力を身につけたいと思っている。
 
言葉のチョイスの良し悪しで組織の元気を増幅させたり、一方で大事なメンバーのやる気を削いでしまうようなことも経験してきた。特に後者の経験の方が、自分に対してのこの意味合いの重さを受け止めることにつながっていて、時には僕の言葉を受け取った本人からそういうフィードバックをもらうこともあり、打ちひしがれることもあった。
 
リーダーはコミュニケーション量を増やし、組織に意思を伝え、個々のメンバーをエンパワーメントさせ…‥とは思うが、一つ一つの言葉による影響度が大きいと思うと、安易な言葉を発するわけにもいかず、そんな思いから、ある時期は言葉を選びすぎて発信力が落ちたり、慎重になりすぎた時期もあったように思う。
 
 
 
実はここ1,2ヶ月この講師からのメッセージが蘇ることが多い。経営者に限らず、今におけるビジネススキルとして本当に大事なのが「言語力」であると感じる。
 
自分の頭の中に描いているイメージや感情を、ダイレクトに伝える言葉のチョイス。
自分たちが取り組んでいるビジネスが提供してる価値を表現するjust fitな言葉を使える力。
僕らにとってどんなワードがjust fitな言葉なんだっけ?こんなことを探す作業やミーティング。
 
こんなことがここ最近多かったり、意識することが増えたからだろう。多分これは、一昔前は形に見えるものを扱い、有形資産を売るビジネスが主流だったのが、今は無形のものや体験価値といった目に見えないものを扱うことが多くなり、それをいかに相手に伝えて買っていただくかというビジネスに移っているからだと思う。
 
 
ここ最近のNOKIOOの活動や状況もここに紐づけて説明ができそうなので、むりくりもあるかもしれないが解説したい。
 
 
1つ目
NOKIOOでは今期から1on1ミーティングに取り組み始めた。明確に断っておきたいけど、世の中1on1が流行り始めたから取り組み始めたのでは全くない。昨期くらいから制度化はしていなくても、自発的に1on1的なミーティングが特定のメンバー、チームで始まっていたし、僕自身も3年前から経営顧問の有賀さんと隔週の1on1でのディスカッションを通して、自身の考えの言語化をして、経営のポイントを自分自身の言葉に落としながら学んでいったし、NOKIOOのメンバーは1年半前から始めたラウンドロビンランチを通じて、役割や部署を飛び越えて全メンバーが全メンバーと1on1で“まずはランチから対話をする”ことを通じてコミュニケーションを活性化させるとともに、自分の思いを言葉にすることに取り組んできた。
 
 
2つ目
1年ほど前から全員日報を全員公開で、社内SNSを使って浸透させてきたこともこのの文脈で語れると思う。
 
日報のフォーマットは
 
1.本日の作業内容(タスク、作業時間、進捗・残タスク・残課題 )
2.明日の作業内容
3.上記業務・作業について課題感、ヘルプ、報告事項
4.本日の振り返り・気づいたことなど所感
 
という4つのパートになっているけれど、ここの3や4の項目で、その日にあったことを言語化し、自分なりの言葉で表現してアウトプットすることがメンバーの言語力を鍛えることにつながっていると思う。自分ではうまく表現できなくても、社内SNSで発信しているから、他のメンバーからフィードバックや返信がある中で、その中から自分の考えをより上手に表現してくれている“言葉”を見つけだし、それを自分の語彙力におさめるようなことも発生しているのではないかな。なによりも毎日コツコツと短くても一から自分で文章を起こして表現することが何よりもちりつもでトレーニングになっていく。
 
 
3つ目
NOKIOOはここ4,5年で男女比が反転して男女比3:7ぐらいの構成になってきている。ON-MO事業、女性活躍推進事業といった女性の学び、働き、社会参画といったことをテーマに事業活動をしてきたことから、そういう分野に関心を持つ女性が求人応募をしてきてということがあるけれど、僕もそりゃあ誰でも彼でもいいというわけではなくて、NOKIOOで活躍し、組織に貢献し、周りによい影響を与えてくれる人と働きたいから、男女は関係なく採用面談に臨んでいるわけだけど、そんな中でも女性メンバーが増え、こうして活躍していることはどう解釈できるのだろうか。
やはり、僕らみたいなコンテンツや教育、ソフトウェアといった筋肉で扱うのではなく頭脳や言葉で扱うものを商売の対象物としていると、それをどう表現したり、相手に伝えたり、メンバーと共通認識をするかという“言葉”でコミュニケーションする行為が仕事の中心になってきているからではないかと思う。
僕の好きな本の「サピエンス全史」「EQ」のどちらかに書いていたように記憶しているが、太古から男性は狩猟が仕事で、言葉というより“筋肉”勝負をしてきたが、女性はムラで他者とどうやってうまく意思疎通をしながら協力し合うか、そのためにどう“言葉”を使うかという世界で生きてきているので圧倒体に女性の方が言語操作力が発達しているとのこと。「そうかあ」と。NOKIOOもそういう商材を扱っていることが結果的に“言語操作力”をより必要とするので、それに長けた人材で会社のメンバーが構成された結果の男女比なのかと、解釈することもできるなと思った。もちろん3割の男性メンバーもこうした商材を扱い、社内ディスカッションをし、1on1をするなかでどんどん言語力が鍛えられていると思う。
 
 
いつしかのブログにも書いたかもしれないが、こうした言葉を操りながら無形なもの、目に見えないものを議論するのには随分忍耐がいる。その議論を通じてなかなか晴れないモヤモヤを心に持ちながら、それと共生していくような感じ。モヤモヤは気持ち悪いから早くそれを晴らしたい、そういう心持ちから逃げたい、もっと白黒はっきりつく世界でやりたいという気持ちが起こる。それもわかる。そうしてこのモヤモヤから逃げて言った面々もいるし、向きあえなかったメンバーももちろんいる。
 
 
でも既述の通り「かたちあるものが価値」の時代から、無形なものの価値が大事になってくる時代において、それを言葉で表現できるし、モヤモヤを内包しながらそれと付き合っていけることは一つの大事なスキルとなってきている確証がある。だから、今のノキオメンバーは本当にそういう意味で人材価値が上がっているのだろうな、と思う。
 
 
さて、僕自身は書いた通り経営者としてより“言葉の力”を磨きたいと思ってる。だから、日報もメンバーと一緒に自分も毎日書くし、このブログも月1くらいのペースながら5年ほど続けているし・・・・もう一つ始めたのが音声メディアのVoicy
 
 
頭と口の神経回路を直結させて、思い浮かべたことを即座に言葉にする瞬発力を鍛えるためにもこうした音声メディアを通じて、発声する言葉を通じて皆さんに思いを伝えられればと思い、グロービスの大先輩の梶原圭三さんからいただいたチャンスもせっかくなので活かしたいと思い、隔週木曜日に音声メディアで発信することにしました。
言葉磨きをしつつ、頭と口の神経回路を鍛え言葉の瞬発力を鍛えるために、そして言葉を通じてより多くの人に僕らの目指す世界をお伝えしたく、続けていくのでぜひお聞きください。
 
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