2019.03.27

「女性の働く」を入り口にした未来の働き方

こちらのWEBメディアを本日リリースしました。
 
『未来型ワーク企業 for Woman
 
http://miraiwork.on-mo.jp/
 
この企画は僕が2月末に立てて、コンセプト創りから企画書へ、営業活動もして、社内クリエイティブチームや女性活躍推進事業部を巻き込んでリリースまで1か月でたどり着いたのですが、この企画の裏側にある思いにも通じるものがあり、今日のブログでは「女性の視点で見直す人材育成(著者:中原淳、トーマツイノベーション)」を読む中で感じた、考えたことを書きたいと思います。
 
 
僕が普段考えている課題感や、なぜ女性活躍推進に取り組むか、そしてそれがなぜ必要であるかを言葉に落とし込み、そして膨大なリサーチを元にしたデータで立証をしている点で、大変示唆に富み、僕らの活動の後ろ支えしてくれ、そして勇気をいただく本でした。
 
 
なぜNOKIOOがワークスタイルの問題に取り組むのか、そして女性活躍推進に取り組むのか。
 
 
僕は常々言ってるけど、昨今の働き方改革が出てきている背景とか、イノベーション待望論とか、超高齢化社会を迎えるにあたって出てくる様々な問題とか、大きな課題が山ほどあるけれど、それらの課題へ入っていく入り口として、女性の課題を解決へのアプローチが、その先のこれらの課題解決につながっていくと思っている。たまたま時代背景、流れとして政治的にも社会的にも女性活躍推進の風が大きく吹き始めているけど、ここに真剣に向き合い、本質的な課題を特定し、それに向き合っていくことが、その奥にある大きな課題の本質にもつながっていると思うのです。
 
例えば、本当に簡単なことから言えば「育児や家庭との両立をしなければならない状況を抱えた女性」がいて、一方で会社のビジョンには共感しているし、その会社に価値をもたらすスキルも能力も持っている。その方の力を活かすことにその会社なりの成功法則を作ったとする。
 
ここで出た「育児や家庭との両立をしなければならない状況」って、何だかこれまでの時代が作った先入観で「女性」を想起させると思うけど、「男性」だってもちろんそうだし、具体的に言えば「僕」だって3児の子育て、共働きのまさにそういう環境。
ここで出た「育児や家庭」を「介護」や「看病」に置き換えることもできるだろうし、実際そういう社員がNOKIOOにもいる。
 
その成功法則は、状況や対象者という変数を変えても通じる法則になっていくと思うのです。
 
 
だから「働き方改革」っていうとテーマが大きすぎるけど、まず女性に関わる部分の解決にフォーカスして突破口を開くことに貢献できるのであれば、僕としてNOKIOOとして社会に対しての大きな価値を生むことになると思っている。
 
 
 
僕は新卒で日本的大企業に就職し、その後の転職先の会社の中でも古きマネジメントスタイルの元で働く中でいつも違和感があった。残業して頑張ることがよしとされる文化、やっぱり何となく上意下達なスタイル、個々人の価値観や(生活を含めた)環境との両立よりは会社の一律的なものに合わせることが求められる感じ‥‥
違和感があったけど、自分でそれに代わる本質的なものがまだ見えてなかったし、そう主張できなかったし、そこまでのエネルギーが無かったからそれに合わせていた。合わせたまま自分のスタイルがそれに染まる前に飛び出したのが、振り返ると本当によかった。
 
 
会社経営では本質的なものに向き合わざるを得ない。結局本質的でないものに基づいた経営は、中長期的には成果も出ないし、メンバーにも本当にやりがいのある場所を提供できない。自分自身が企業経営の経験が初めての中で多くの失敗や上手くいかないことに直面し続けると、なぜなぜ?を考える中で本質っぽいものに近づきつつあるのではないかなと思った。
 
イチローの引退記者会見。大切なことがギュッと詰まっていて、生き方、考え方、行動の在り方を考えさせる素晴らしい会見だった。1時間20分。見入ってしまったけど、イチローも言ってた。「辛いこと、しんどいことから逃げない。エネルギー、元気のある時にそれに立ち向かうことが人として大切。なぜなら、そういうところでの体験を通してのみ、これまでなかった気づきを得て、未来の自分にとって大切なことを得られるから。」(要約するとこんな感じ)
 
 
目の前の状況から逃げずに正対することで未来を拓く本質、大切なことに辿り着くというのは、僕の安穏としたサラリーマン時代から経営者になったことでも(イチローのレベル感とは雲泥の差ではありながら)得られたことだと思っていて、社会として会社として女性の課題に向き合うことで、未来を拓く本質的なことに社会とそれぞれの会社が気づいていくと思うのです。
 
だから、僕がワークスタイルの問題に取り組み、そして女性活躍推進に取り組むという長いお話しでした。
 
 
 
さて、こちらの本を読む中で感じたことを2点紹介します。
 
 
 
 
 
1つ目。
この本のベースとなる調査・分析はトーマツイノベーション株式会社と立教大学・中原淳教授の行われた大規模なリサーチに基づくもので、合計7千人強の対象者にアンケートを行ったとのこと。そこから集計された様々な切り口の結果を見て、男女間での回答差として有意差が見られるもの、見られないもの、それぞれがあったが、有意差が見られるものの中で、これから働く人がそれぞれの価値を十分に発揮して、会社に社会に貢献が求められる時代には、より女性の感覚に近づいて行った方がいいんじゃない?そうあったほうがより良いのではないか?という気づき。
 
 
例えば、
  • ●「「できるだけ長く仕事を続けたい」と思っている人の割合」男女差で6.0ポイントの有意差あり。
  • ●「リーダーになってよかったと思う(リーダーの仕事にやりがいを見出し、大きく変貌を遂げる)」男女差で6.2ポイントの有意差あり。
など。
働く人たちが男女に関わらず、そうあった方がいいと思う状況のいくつかに対して女性の方が強くそう感じていたことが印象的。
 
 
 
2つ目。
女性社員を育成する、活躍推進するという意味合いで書かれていたマネジメントのあり方、考え方は、男女関係なく共通する大事なマネジメントの肝が書かれている。
 
例えば、
  • ●能力・成果に自信が無いと思いがちな女性に対して、自信アップのために絶妙なストレッチを与える。要はコンフォートゾーンの仕事ばかりではなくて、そこから抜け出したストレッチゾーンの役割、仕事を渡して、成長を引き出して、自信をつけていってもらうこと。
  • ●部下に意味ある「振り返り」の機会をコーディネートすること。経験したことを振り返る「リフレクション」をすること。
What?:何が起こったのか思い出し
So What?:何が良くて何が悪かったのかなど、起きたことの意味を考え、
Now What?:これからどうするのかを考える。
 
これをやらないと、起こったことを近視眼的にタスク、ワークとしてしか捉えられず、それを抽象化して自分のノウハウにすることができない。
これは僕自身も経営者としての成長としてすごく大事なことだと分かっていて、普段から意識して書き出すことをしている。
ちなみにNOKIOOではグループウェアで全社員が自分の日々の活動を日報として共有し、メンバー間が有機的に連携できるために情報共有をしているけれど、その意味合いプラス、個々人が日報を通してその日のWhatから学び、次につなげる成長をしてもらいたいと思っていて、そのことは早速社内にも展開した。
 
 
とりあえず取り上げたのは2点だけど、仕事を通じて成長する、マネジメントを通じてメンバーや会社を成長させることの観点からすると男女関係なくとても大事なことがいくつも書かれていた。たとえ職場の女性をマネジメントするという観点から入ったとしても、この本質的な力というのは男女に限らずその力が活きてくる。
 
 
 
 
日本社会の働き方が大きなターニングポイントを迎えている今、未来を見据えての働き方、職場に挑戦している会社はまさに女性にとっても働きやすく、力を発揮できる会社であると思う。辛いこと、しんどいことがあってもそこに向き合うことで未来の会社を支える本質的なものに辿り着く、そういう信念を持って取り組んでいる会社が増やしていきたい、そしてそういう会社に社会の目が向くようにしたいと思い、「未来型ワーク企業 for Woman」を立ち上げました。
 
 
 
 
さて、約2年前の組織図と人員構成をみると男女比5:4ぐらいだったNOKIOOが、この2年で男女比4:5ぐらいに変化をしてきている。僕は仕事をするうえで、マネジメントをするうえでメンバーのことを性差で隔てて見ていないけど、それはそれで良い側面もありながら、この本で示される男女の仕事に対する見方、感じ方や、置かれている環境を考えると、どちらを優位にするということではなく性差を意識した接し方やマネジメントも必要であることも一つの気づきだった。
 
よい本に巡り合えてよかったです。
 
 
 
出所:トーマツイノベーション × 中原淳 女性活躍推進研究プロジェクト(2017)「女性の働くを科学する:働く男女のキャリア調査」https://www.ti.tohmatsu.co.jp/target/woman_activity/
 
出所:トーマツイノベーション × 中原淳 女性活躍推進研究プロジェクト(2017)「女性の働くを科学する:職場の働き方調査」https://www.ti.tohmatsu.co.jp/target/woman_activity/