2021.10.03

VUCAな時代の目標設定へのアプローチについて

今回のブログでは、「目標の立て方」について最近少し考えたこと、大事だと思ったことを書いてみる。
 
 
まずは先日社内の隔週勉強会(Edge NOKIOO)にて取り上げられたテーマと、弊社の取締役・小田木さんが7月にリリースした「働く私たちの育休戦略 BookTrip 著者:小田木朝子」の内容に触れながら、「目標の立て方」の考えへつなげていきたい。
 
 
 
まず書籍の紹介。「働く私たちの育休戦略」について。
 
2013年頃に浜松エリアで始めた子育て女性と社会の接点創出プロジェクト「ON-MOプロジェクト」をスタートに、女性向けのキャリア教育である「育勉セミナー」を展開し、この7-8年間の地域、社会における女性の“働く”ことに関わる環境・状況変化に対応して中身をブラッシュアップ、変化をさせてきた。この間には、復職に向けたキャリア教育や、企業への在職者向け教育、そして育休者向けオンラインスクール「育休スクラ」へと、このベースコンテンツが使われるシーン(事業内容)は変わってきたが、根底にあるコンテンツソースや考え方の拠り所は変わっていない。
 
この考え方の拠り所を一度きちんとまとめて、多くの人に事業活動によるサービス提供というかたち以外でも届けたいと考え、書籍という形でそれを実現した。
 
今は育休スクラ受講者や、お取引先企業の従業員の方にもお読みいただき、それぞれの働き方を考えるうえでのヒントにしてもらっている。
 
「育休戦略」と本のタイトルにはあるが、「育休中」には限らない汎用性の高い働くこと・キャリアのことが書かれている。
 
あえて「育休」に設定したのは、書籍内で、
 
・いろいろなことが大きく変化する転換点だから
・仕事を離れ、自分に向き合う時間が生まれるから
・長い両立期のスタート時点だから
 
と書かれているが、
 
社会や働き方の在り方が画一的・安定的時代であれば、上記3点の条件が最も当てはまるのが育休タイミングだったかもしれないが、2021年の現時点においては社会はVUCA時代とも言われ、育休タイミングに限らず、多くの変化・転換点、仕事との距離感の変化、子育てだけではなく介護や副業・地域活動など様々なものとの両立が必要であることを考えると、多くのビジネスパーソンが置かれた立場に置き換えて読むことができると思う。
 
 
そう考えた時に、読んでほしい対象者としては、当然NOKIOOのメンバーにも読んで、自分ごとにあらためて落とし込んでほしいと思っている。この本の中で触れられている考え方の断片は、NOKIOOで仕事をしていれば日々の業務活動や情報共有ミーティング、様々な社内コミュニケーションでインプットされていると思うが、あらためて体系的にストーリーとして読みながら、自身の働き方・キャリアと照らしてほしいと思っている。
 
 
そう思っていたところ、先日9月末の社内勉強会にて、勉強会テーマ持ち込みメンバーが「人生の武器を手に入れよう!働く私たちの育休戦略を読んで」という内容で発表と、著者である小田木さんに感想と疑問をぶつけてくれた。
小田木さん本人にとっても嬉しかっただろうし、勉強会参加メンバーにもあらためてこの本の存在と、NOKIOOとして大切にする“働く”に関する考え方の一端に触れ、貴重な機会となった。
 
 
勉強会の様子
 
 
この日のことは小田木さんのVoicyでも触れられています。
 
 
 
 
勉強会で出てきた投げ込み、テーマとしては、発表者の鈴木さんが納得したこと、大事だと思った部分として、以下の内容の紹介があった。
 
これについては、ここのブログではさらりと流し、
 
 
彼が疑問というか、深めたいということで投げ込まれたテーマは以下の内容である。
 
 
まず、将来予測シートという、育勉セミナーでもやってきた中長期視点で自分と家族のライフステージを考えるためのワーク用のシートがあり、それを使うにあたってのアプローチとして、
 
ビジョン型アプローチ:理想のゴールや実現したい未来から発想し、今やるべきことを決める
積み上げ型アプローチ:現在を起点に目の前のことをやっていく
 
この両者のアプローチを紹介しつつ、「忙しい毎日に追われる私たちは、つい「積み上げ型思考」になりがち」で、ビジョン型アプローチの思考を取り入れて行こう、というもの。
 
 
一方で、別の章では「二つのキャリア」に関するキャリアタイプの紹介があり、「登山型」と「トレッキング型」のキャリアタイプが紹介されている。
 
登山型:「〇〇の分野で専門性を磨く」「〇歳までに××の資格を取る」。目標に向かって一直線にキャリア形成。
トレッキング型:特定の目標はなく、状況に応じて経験を積む。歩くことを自体を楽しむスタイルのキャリア形成。
 
 
といった感じだが、これまで私たちは学校でも受験でも、会社の中でも「まず目標を持ちなさい」と言われて、目標から逆算してやることを決めて活動することを教え込まれてきたが、自分の知っていること・経験したことが少ない場合や、人生において何十年もかけて取り組むような「キャリア」というテーマにおいては、その時点において自分に適切な目標を設定すること自体難しいのではないか?ということから、「トレッキング型キャリア」を肯定しよう、ということが本で述べられていることになる。
 
発表者の鈴木さんからは、
 
登山型 ≒ ビジョン型 / トレッキング型 ≒ 積み上げ型
 
とつながり、
 
“積み上げ”よりも“ビジョン型”を推奨
“登山型”よりも“トレッキング型”を推奨
 
と聞こえるので、
 
△登山型 ≒ 〇ビジョン型 / 〇トレッキング型 ≒ △積み上げ型
 
とされているように感じて、一体どちらがいいのだろうか?矛盾が生まれてしまった、という投げかけだった。
 
 
本の中にも書かれていたが、両タイプのものの考え方、アプローチがあることを知ること、両者をしなやかに行き来しながらキャリアを考えるハイブリッド型でありたいことであり、どちらが優れている、という話ではない、というのがそれに対する回答なのだろうと理解をしていますが、
 
こういう問い自体を発表者の鈴木さんが頭に浮かべたこと、そして社内で他のメンバーも含めてそれを一緒に考えたこと自体に大事な価値があると感じれる時間であった。
 
 
 
そして、本ブログのテーマである「目標設定」に関して、最後に僕の考えを記しておきたいのですが、(これに関するコメントを、この勉強会でもメンバーには共有させてもらいました。)
 
 
これだけ世の中の動きが流動的で、去年あったものが今年は無かったり、先読みしにくい時代に目標設定についてどうありたいか。
 
コロナによって様々な活動が制限されたり、そもそも在ったものが無くなったりする中で、多くの人が目の前の目標を失い、苦しい思いをしているという話を聞く。
僕が大学在学時に大きな目標としていた関西学生テニスリーグ戦。このリーグ戦で昇格することが学生生活・テニス部生活をする上での唯一の目標だったかもしれない。ちょうど一週間前にOB向けメール配信で、今年のリーグ戦はコロナによる影響で中止となり、4回生はそのまま引退となったそうである。当時の自分だったらこれをどう受け止められるか。目標を突然失い、茫然自失だったかもしれない。
 
こんな時代に必要な「目標」の在り方ってどんなものだろうか。
 
社会における価値観や、ものの定義が揺れ動く時代なのだから、社会が定めた尺度・定義に依る目標(例えば、受験でどこに入る、どこに就職する、資格を取得する、年収をいくらにするなど)だけに自分の目標設定を置くのではなく、自らが定義した尺度や在り方の目標、自分の中から出てくるオリジナルの尺度・定義から自分の目標を定めておきたい。
 
そのために自分とは何か、何を自分は知っていて、誰とつながっていて、何を成そうとしているのか。こうした問いを持ちながら自己対峙することがますます大事になってきていると思える。
 
世の中が定義する目標ではなく、自分が定義した目標(つまり、それは自分の在り方)なのかもしれない。
会社のミッションも売上●億円にする、IPOすること、ではなく、その在り方がミッションとして定義されるはずである。NOKIOOにとってのミッションは「「ハンデ」という思い込みを、価値と機会に変える」ための在り方であり、売上高でもなく、従業員数などの規模でもない。
この目標は外部環境が大きく変わったり、ビジネスルールが変わっても変わらない、そんなミッション的なものを個人も持つことが大事なのだとあらためて思ったのである。
 
 
トレッキング型のキャリア形成も、積み上げ型についても、どっちの方向に向かっていくのか、積んでいくのかの方向感は欲しい。
長いキャリアにおいて、明確な目標を設定することは難しいかもしれないけど、自分の在り方みたいな目標は、その方向をおおよそ指し示してくれる北極星になるのかもしれないと思う。